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IBMと日本のラピダス、サブ1nmの高性能チップ開発でパートナーシップを拡大
このほど、IBMと日本の半導体メーカーであるRapidusは、既存の2nmプロセスノードに加えて、1ナノメートル未満の先進的なチップ開発における協力体制拡大を発表しました。これは両社が2022年に戦略的パートナーシップを締結して以来、次世代半導体技術の商業化を目指した重要な一歩となるものです。
IBMリサーチの半導体R&D部門バイスプレジデントであるムケシュ・カーレ氏は次のように述べています。「我々は、ラピダスとの間で長期的かつ深く連携したパートナーシップを築き、最先端プロセスノードにおける進歩を継続的に推進することを目指しています。」現在、IBMは約10人のエンジニアを日本の北海道千歳市にあるラピダスの研究開発および製造拠点に派遣しており、2027年までに2nmチップの大規模生産を実現するための支援を行っています。
すでに2022年12月には、IBMは自社の2nmチップ技術をラピダスにライセンス供与していました。ロードマップによると、ラピダスは2025年までにパイロット生産を開始し、2nmプロセスを基盤とした改良版(2nm+と呼ばれる)を2027年にリリースする予定であり、より高密度で複雑なコンピューティング用途をサポートします。
プロセス技術にとどまらず、2社は特にチプレット統合および高性能パッケージング設計に注力して、先進的なパッケージングソリューションも共同開発しています。2024年12月には、IBMとラピダスが「選択的層削減(Selective Layer Reduction)」と呼ばれる新しい製造方法を共同開発することに成功しました。この技術により、複数のしきい値電圧を持つナノシート型ゲートオールアラウンドトランジスタを安定して生産することが可能となりました。このイノベーションによって、よりエネルギー効率が高く複雑なコンピューティングアーキテクチャの実現が後押しされています。
この協業は、IBMが半導体分野での継続的なリーダーシップを維持していることを示すとともに、日本の国内チップ製造能力の再生に向けた戦略的な野心を反映しています。IBMの技術的強みを活用することで、ラピダスはグローバル半導体サプライチェーンにおける自社の地位を高め、日本が再び半導体分野の一大勢力となることを支援するとしています。
AI、高性能コンピューティング、自動運転への需要が急増し続ける中、1nm未満のプロセスノードにおける画期的な技術進展が業界をリードする鍵となると予想されています。IBMとラピダスとの協力体制の深化は、今後数年間で技術的および産業的なブレイクスルーの実現に大きく貢献し、先端製造能力のグローバルな再編成に寄与する可能性を秘めています。
半導体技術、先進プロセスノード、チップパッケージング技術