All Categories

技術記事

ホーム >  応用 >  技術記事

スイッチング電源におけるYコンデンサのEMIフィルタリングにおける役割

YコンデンサがSMPS、LEDドライバ、産業用電源システムでどのようにEMIを抑制するかについて詳しく見ていき、より優れたEMC性能と安全性のために重要な選定ポイントを学びます。

スイッチング電源におけるYコンデンサのEMIフィルタリングにおける役割

1. 製品概要

Yコンデンサは、共通モードの電磁妨害(EMI)を抑えるために特別に設計された安全認証済み部品の一種です。これは、ACライン(L/N)とアース(FG)の間に接続されます。直接アースに接続されているため、Yコンデンサに故障が生じた場合、安全上のリスクが生じる可能性があります。そのため、UL、VDE、CQCなどの厳しい国際的安全基準を満たす必要があります。

Yコンデンサは次のように分類されます:

Y1種:高絶縁用途向けに設計(AC 250V、≥4000V)、一般的に産業用または強化絶縁システムで使用される;

Y2形: 一般用途の民生用電子機器(AC 250V、≥ 2500V)向けに設計されています。

Xコンデンサが差動モード雑音除去を目的として設計されている一方で、Yコンデンサは特に150kHz~30MHzの伝導雑音範囲における共通モードEMI抑制を最適化しています。

2. SMPSにおけるEMIとYコンデンサの機能

スイッチングモード電源(SMPS)では、MOSFETなどの高速スイッチング素子によりEMIが発生します。このノイズは電源ラインを通じて伝播したり、外部に放射されたりして、周辺機器に影響を与え、システムがEMC試験に不合格になる可能性があります。

共通モードノイズは、接地とデバイス内部ノード間の高周波電位差によって発生します。適切に制御しない場合、通信エラーやセンサーの誤動作、システムリセットなどを引き起こすことがあります。

Yコンデンサ:

共通モードチョークと併せて効率的なEMIフィルタを構成する;

高周波ノイズをアースに逃がすための低インピーダンス経路を提供する;

共通モード伝導雑音の振幅を大幅に低減し、EN 55032やCISPR 32などのEMI規格への適合を可能にします。

AC-DC電源モジュールにおいては、Y容量の正しい選定および配置が伝導放射試験の合格および製品安全性の確保において重要です。

3. Yコンデンサの選定ガイドライン

安全分類

産業用または強化絶縁システムにはY1コンデンサを使用してください;

コストと性能のバランスを取るため、民生機器やポータブル機器にはY2コンデンサを使用してください。

静電容量範囲

通常470pFから4700pFの間;

合計静電容量は感電や接地故障遮断器(GFCI)のトリップを避けるために安全限界(例:<0.75mA)以下に維持する必要があります。

誘電体材料および信頼性

高周波特性および安定性に優れているため、セラミックコンデンサが広く使用されています;

高温多湿または高温環境ではフィルムコンデンサが好まれることがあります。

レイアウトの検討事項

Y容量はEMIフィルター入力に近い場所に配置してください。

寄生インダクタンスを低減し、フィルタリング効果を高めるために、短く広いPCBパターンを使用してください。

4. ケーススタディ:LEDドライバにおけるYコンデンサ設計

LEDドライバにおいて、YコンデンサはEMI規格適合において重要な役割を果たします。このようなシステムはノイズに敏感であり、EMI対策が不十分だと点滅や不安定な動作を引き起こす可能性があります。

あるLED照明設計では、入力フィルタに2つの2200pF Y2コンデンサを追加しました。これにより共通モードノイズを15dB以上低減し、製品がEN55015 Class B規格を余裕を持って満たすことを保証しました。

5. 結論

Yコンデンサは現代のEMI抑制設計において不可欠な部品です。適切に使用することで、製品の信頼性・安全性・市場規格への適合性が向上します。民生用電子機器から産業用電源システムまで、適切なYコンデンサを選定することで長期的な安定性と最適なEMI性能を確保できます。

Yコンデンサ | EMI抑制 | Y1/Y2コンデンサ | EMCフィルタ設計 | 電源ノイズ対策

前へ

なし

All applications 次へ

バリスタ回路設計の原則

Recommended Products