本記事では、産業用制御機器におけるTVSダイオードのサージ抑制用途について、実際の事例や技術的な選定のアドバイスと共に解説しています。国際調達担当者やEMC設計担当者に適しています。
I. TVSダイオードとは何か、そしてどのような問題を解決するのか?
TVSダイオード(過電圧保護ダイオード)は、過渡的な電圧サージから保護するために設計された保護デバイスです。落雷、電源の切り替え、静電気放電(ESD)、急激な負荷変動などにより、システムに突然の高電圧サージが発生した場合、TVSダイオードはナノ秒単位で導通し、過電圧を安全なレベルまでクランプします。これにより、MCU、CANコントローラー、RS485通信チップなどの敏感な回路部品を損傷から守ります。

II. 産業用オートメーションシステムでの主な応用例
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応用システム |
保護対象 |
取付場所 |
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Plc programmable controller |
デジタルI/Oインターフェース、通信ポート |
入出力インターフェース、RS485チャネル |
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インバーターおよびモータードライブ |
制御電源およびモーターフィードバック信号 |
DC入出力、アナログ信号 |
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ロボティクスおよび自動化セル |
センサー/エンコーダー回路 |
端子台、電源バスバー |
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産業用IoT(IIoT)ゲートウェイ |
Ethernet/USB/UART通信インターフェース |
ネットワーク/シリアルポート保護ゾーン |
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セキュリティ監視システム |
カメラ電源および信号リンク |
DCプラグ、PoE電源ポート |
TVSダイオードはコンパクトで高速動作し、SMA、SMB、SMC、DO-15などのさまざまなパッケージで提供されているため、高密度のPCBレイアウトに適しています。

III. 適切なTVSダイオードの選定方法
設計時には、以下の技術的パラメータを検討することが重要です。
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パラメータ名 |
意味と提案 |
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V RWM |
最大動作電圧。システムの動作電圧以上である必要があります。 |
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V BR |
降伏電圧。導通を開始する最小電圧。 |
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V クランプ |
クランプ電圧。実際のサージ保護の上限値。 |
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わかった PP |
ピークサージ電流耐量。サージ電流耐量が大きいほど、衝撃に対する耐性が高くなります。 |
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C J |
接合部容量。通信インターフェースにおいて特に重要です。 |
例えば、RS485産業用通信インターフェースの場合、V RWM が5Vで、V クランプ が≤12Vの低容量TVSダイオードが推奨されます。
IV. 適用事例:欧州顧客のリレー突入電流問題を解決
2024年末に、ドイツの産業用自動化装置メーカーがPLC制御モジュールで頻発するMCU損傷問題を解決するために支援しました。解析の結果、リレー切断時に発生する逆方向の高電圧(>60V)がPCB回路を通じて主制御チップに影響を与えていることが判明しました。
リレードライブとMCU制御ライン間にSMCJ40CA双方向TVSダイオードを選定して配置することで、サージを成功裏に抑制し、24時間連続テスト後も問題は再発しませんでした。
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